「看護教員って、どうやったらなれるんだろう?」
「臨床の経験はあるけど、自分に教えることなんてできるのかな…」
そんなふうに考えたことはありませんか?
私は看護師として病棟で働いたあと、看護教員として学生を教えてきました。といっても、最初から教員を目指していたわけではないんです。一度退職してから、思いがけない出会いがきっかけで、教員の道に進みました。
この記事では、看護専門学校などで教える「専任教員」になるための条件と、私が実際に看護教員になるまでの流れをお話しします。看護教員の仕事内容や臨床とのちがい、なってみて良かったこと・大変だったこと、向いている人についても書いたので、看護教員が気になっている人の参考になればうれしいです。
看護教員(専任教員)になるための条件
看護専門学校などの看護師養成所で教える「専任教員」になるには、国が決めた条件があります。厚生労働省の「看護師等養成所の運営に関する指導ガイドライン」では、次のどちらかにあてはまる人が専任教員になれるとされています。
パターン1:経験5年以上+専任教員養成講習会
- 保健師・助産師・看護師として、5年以上働いた経験がある
- 専任教員養成講習会など、専任教員として必要な研修を修了している
私はこちらのパターンでした。
パターン2:経験3年以上+大学・大学院で教育の科目を学んだ
- 看護の専門分野(成人看護学、老年看護学など)のうち1つの分野で、3年以上働いた経験がある
- 大学で教育に関する科目(合計4単位以上)を学んで卒業した、または大学院で教育に関する科目を学んだ
大学の教職課程などで教育の科目を学んでいた人は、こちらのパターンにあてはまることがあります。
なお、この記事でお話ししているのは、看護専門学校などの「看護師養成所」の教員です。大学で教える場合は、条件が別になります。
専任教員養成講習会とは
専任教員養成講習会は、看護教員になるための研修です。厚生労働省が認めた講習会を、都道府県などが開いています。
厚生労働省の資料(2018年)によると、講習会は34単位・855時間で、期間は約8か月です。一部はeラーニングで受けられます。
学ぶ内容は、大きく分けて次の2つです。
- 教育の基本:教育原理、教育方法、教育心理、教育評価など
- 看護教育の専門:看護論、看護教育論、看護教育課程など
募集の時期や受講の条件は、都道府県によってちがいます。受けたい人は、住んでいる地域の講習会の募集要項を確かめてみてくださいね。
私が看護教員になるまで
ここからは、私自身の話です。
病院を辞めて、オーストラリアへ
看護師になって9年目くらいのとき、この先に自信が持てず、プライベートもうまくいかず、病院を辞めて留学しました。オーストラリアに行き、最初は語学留学、そのあと大学に入って、全部で1年半ほど学んで帰ってきました。
帰国後の出会いがきっかけに
帰ってきてからは、次に何をしようかと考えながら、外来でアルバイトをしていました。そんなときに、以前お世話になった看護師長さんにたまたま会ったんです。そこで、海外の大学でどんなことを学んできたのかをお話ししました。
すると後日、看護部長から連絡があって、病院の付属の看護学校で教員をしないかという話をいただきました。そのお話を受けて、学校に応募しました。
求人を探して応募する人も多いと思いますが、私の場合は、もともと勤めていた病院とのつながりがきっかけでした。
講習会を受ける前に、3年ほど教えていた
パターン1で看護教員になる場合は、専任教員養成講習会を受ける必要があります。ただ、私のときは先に受講を待っている先生がいたので、その順番待ちで、3年ほどは講習会を受けないまま学生を教えていました。そのあと講習会を受けに行き、また学校に戻っています。
国のガイドラインでは、専任教員の条件に講習会などの研修の修了が入っています。私のように受講の前から教えることになるかどうかは、学校や時期によってちがうと思います。これから目指す人は、講習会をいつ受けるのかを、応募する学校に確かめておくと安心です。
講習会で役に立ったのは、先生も学生も、みんな同じように悩んでいると分かったことです。悩みながら、どちらも一緒に成長していけるところが絶対にある。その思いを胸に、学生と向き合ってきました。
看護教員の仕事内容
看護教員の仕事は、授業だけではありません。私が担当していたのは、次のような仕事です。
- 授業
- 演習
- 実習の指導
- 担任
- 国家試験の対策
- 入試
- 行事(学校祭、入学式、戴帽式、卒業式など)
中でも時間を使ったのは、実習の指導と授業でした。特に授業の準備には、寝る間も惜しんで時間を使っていました。実習で学生と向き合う中で感じたことは、次の「臨床と学校のちがい」でお話しします。
臨床と学校のちがい
臨床にいたころは、その場の状況や雰囲気に合わせて、その都度判断して動いていました。
学校ではそうはいきません。学生には、まず基本の形をしっかり覚えてもらって、そこから患者さん一人ひとりに合わせて応用していく、という順番で教えていきます。
基本の形は、教科書に書いてあるとおりに教えれば大丈夫です。でも、実際の患者さんに当てはめると、基本の形は一人ひとりちがってきます。だから学生は、実習に行くとみんな必ず悩むんです。
その悩んでいる状態から、少しでも「分かった」と思えるように教える。ここが難しいところでした。
看護教員になって良かったこと
一番良かったのは、私自身が初心に帰れたことです。
教えるためには、自分がもう一度基本から学び直さないといけません。教えることは、そのまま学ぶことなんですよね。看護を最初から学び直せたのは、教員になったからこそだと思います。
看護教員になって大変だったこと
大変だったのは、担任をしていたときです。
クラスには、さまざまな学生がいます。担任は、勉強を教えるだけではありません。学生の気持ちや悩みといった内面にも向き合って、支えていく必要がありました。
一緒に悩みながら支えていくのは、正直大変でした。でも、これも学生の成長の一部です。今では、そんな日々がキラキラした思い出となって心に残っています。
看護教員に向いている人
私が思う、看護教員に向いている人は、責任感があって、学生一人ひとりに目を向けられる人です。
明るさや真面目さも大事です。でも、教員も、いろんなタイプの人がいていいと思っています。学生の個性もさまざまです。教員のタイプがちがうほうが、「どんな人でも看護師としてやっていける」ということが、学生に伝わると思います。
まとめ:看護教員を目指すなら
看護教員(専任教員)になるには、主に次の流れになります。
- 看護師などとして5年以上働く(大学・大学院で教育の科目を学んだ人は3年以上)
- 専任教員養成講習会を受ける(パターン1の場合)
- 看護専門学校などの求人に応募する、または学校に相談する
私のように、迷って一度立ち止まった時期があっても、そこから教員の道がひらけることもあります。臨床で積んできた経験は、学生に教えるときに必ず生きてきます。
「教えることに興味がある」「看護を基本から学び直したい」という人は、看護教員という働き方も考えてみてくださいね。
私が看護教員になるまでのことや、実習で出会った学生の話は、noteにも書いています。よかったら、こちらも読んでみてくださいね。
▶ note「看護師9年目で病院を辞めた私が、看護教員になるまで」


コメント